あ、と小さく声をあ
げて黙りこんでしま
う。
もう捨てるしかな
いよこれ。べつにい
いけどさ。また作れ
ばいいけどさ。
泣きそうになって
いる彼女を見て、ゆ
み達は弾けたように
笑う。
「直角さ~ん、セン
スやばいね。あたし
無理なんだけど」
「まじ、うけるね。
肉つめるとかキチガ
イじゃね?」
「ね? トンちゃん」
トンちゃん。ブタみ
たいに太っているか
らトンちゃん。なお
は無意識にうつむき
、ぎゅっと目をつむ
る。トンちゃんなん
てあだ名、嫌いだっ
て、薄井このみは言
っていた。だから、
男子が露骨にトンコ
ツとか呼んだりする
と、なおはみんな往
復ビンタした。この
みは、なおの親友だ
ったから。ひと月く
らい前までは……。



