「かわいいゆみの頼
みだもんね。殺して
もいいんだよね?」
女は粉っぽい煙を吐
きだして、キツい目
を鋭く研ぎ澄ます。
「はい」
「聞いたかー?」
彼女がメリケンサッ
クを掲げると、歓声
をあげるようにエン
ジン音が重なりあっ
た。舌なめずりがあ
ちらこちらから聞こ
えてくる。
その凶悪な興奮を
、かん高い悲鳴が引
き裂いた。全員の視
線が校舎へ集中する
。月明かりに照らさ
れて青ざめた屋上に
、長い髪のシルエッ
トが立っている。
スポットライトでも
浴びているように、
その輪郭はくっきり
としている。風にな
ぶられた柳の葉のよ
うに、体が傾く。力
なく落ちてきて、す
ぐ下の茂みに吸いこ
まれた。



