「なんでこんなこと
するの」
涙ぐみまないように
歯をくいしばる。
「うわばきだって…
…」
「はあ?」
すっとんきょうな声
があがる。
「なんのことー、直
角さん」
隣席の男子のむこう
うから、豊富ゆみが
顔をだす。
「うわばきがどーし
たの? あれー、そ
れかわいいね。自分
で作ったの?」
スマートにととのえ
られた眉毛をひょい
っとあげて馬鹿にし
たように笑う。
「ほんとだぁ! め
っちゃかわいいねそ
れ」
ゆみの机を囲んで立
っている女子も、く
っくと肩をふるわせ
る。このみも……。
「中、なに入ってん
の」
なか?
冷や汗をかいて針
をぬきさり、布をや
ぶってみると、生臭
い。ねちょねちょし
たミンチ肉が傷口か
らあふれる。



