慌てて明るい声をだ
した彼に、白い腕が
じゃれつく。
「だってすんげぇ練
習してたし、コーチ
からも親からも期待
かけられてたし。遊
ぶ暇ないくらい体操
漬けだったし。
でも」
みゆの背に手をまわ
して、うっしっしと
笑う。
「今じゃよかったと
思ってるんだ。おか
げでみゆと付き合え
たし」
「そうだよね~。よ
っちゃんが事故って
声かけてくんなかっ
たら、たぶんまだゆ
みさんの子分してた
よ」
「やだわ~それ」
げんなりして、左右
に首をふる。
「ね? 逆によかっ
たんだよ。俺、今、
かなり楽しい毎日送
ってるし」
胸を張って、つやつ
やした八重歯を光ら
せる。



