「ダンプにはねられ
ちゃって。あんま無
理できない体になっ
ちまったから引退し
たの」
なんでもないことの
ように言う。
「ダンプにはねられ
た……」
どう相づちを打って
いいかわからない。
たぶん、こないだ
きみひろ君が言った
やつだ……。
あまりに痛すぎて
二の句がつげない。
笑ってできる話じゃ
ない。馬鹿みたい
に明るい笑顔が、勇
ましいものに見えて
くる。
「やめろ……直角が
ショックうけてるだ
ろ」
ひきつった表情を
隠すように、きみひ
ろはうつむいた。そ
の目には今にも涙が
浮かびそうだ。
「あ~!」
顔の前で手をふって
「もう全然気にして
ないんだよ、俺。ま
じでぜーんぜーん。
そりゃ少しは落ちこ
んだけどさ」



