「そしたらまた、そ
れに対してお礼参り
されるよな。報復ス
パイラル」
横断歩道にむかって
歩きだし、彼はうつ
むいた。
「なんとかするしか
ないね」
なおの言葉を
熱っぽい風が
かき乱す。膨らんだ
スカートをおさえ、
砂ぼこりが入らない
ようにまぶたをおろ
した。髪が荒々しい
ダンスを踊る。
「今まで本当に悪か
った。俺、最低」
すらりとした背中が
声をはりあげた。
「さっき、おまえが
死んだらどうしよう
って。本気で怖かっ
た。自殺なんかする
な」
寒くもないのに鼻を
赤くしたきみひろが
、唇をひき結んでふ
りかえる。信号機が
点滅して赤になる。



