すぐ斜め前に、青ざ
めた横顔がある。
「大丈夫」
低くささやかれなが
ら、階段をおりてい
く。風のように玄関
を抜け、うわばきの
まま門を出た。酸素
を求めて顔をあげ
る。泣きたくなるほ
ど、青い空。
息をきらしている
なおに歯をみせて笑
い、メガネをおしあ
げる。
「悪かったな、こん
なことして」
「びっくりした」
「お礼参りとかされ
ちゃうかもな。ごめ
ん」
目を合わせ、ため息
を吐く。
「仕方ないよ。むし
ろありがとう。さっ
ぱりしたし、常居に
報告する。でもさ」
唾をのみこむ。
「リンチは先生じゃ
どうにもなんないよ
ね。呼び出されたら
通報するしかないよ
ね……」



