捨てきれない希望が
ずきずき痛む。
「いつも大事そうに
持ってたよね?」
おもしろがっている
瞳と、みつめあう。
彼女は笑顔のままこ
ちらに背をむけた。
廊下に進み、窓をあ
ける。なんのためら
いもなく、外へ放り
捨てた。石灰をぶち
まけられたみたいに
なおの頭の中は、真
っ白になる。全ての
抵抗をふりきって、
教室を飛びだした。
このみを払って、窓
から顔をだす。前傾
でサッシュに足をか
ける。ケガをすると
か飛び降りるとか、
そういう気はまった
くなくて、
ただただ
木の実のあとを反射
的に追っていた。
このみがなおを本当
はどう思っていたか
なんて関係ない。今
まで、たしかに、あ
れに支えられてきた
のだし、あれはあの
瞬間のこのみにもら
ったものだ。



