「やったよな?」
頭突きされた。ゆみ
のすべらかな額がみ
るみるうちに赤くな
る。痛そうだ。
あたし、石頭だっ
たっけ?
ぼぅっとして、に
やけそうになったの
を、ギリギリでごま
かす。ふっ、と怒り
が湧いてきた。
「やってない! 絶
対やってない。あん
たみたいに卑怯なこ
となんて絶対しない
!」
「うっせぇんだよ」
みぞおちにパンチさ
れた。
息が止まる。
せきこんで、ぐった
たり倒れこんだなお
の背で、彼女は地団
駄を踏む。
「まじ消えろ。まじ
死ね。この世からな
くなれ。クロコの財
布もてめぇだろ。み
んな返せや。弁償さ
せんぞ、こら!」
痛くて苦しくて、涙
で視界が濁る。



