教室は、シーンと静
まりかえり、状況を
判断するにしたがっ
て、じょじょにみん
な凍りついていく。
「全員ボコられたい
の?」
ゆみだけがうろうろ
と歩き回り、舌打ち
して、目に角を立て
る。土曜日だから、
あとは帰るだけのは
ずだった。すっきり
と掃(は)かれた室内
に担任はいない。出
張とかで、今日は朝
からいない。きみひ
ろは、彼から配るよ
うに頼まれたプリン
ト類をとりに、出て
いったばかりだ。
荒れ狂ったゆみがイ
スをつかんで、黒板
に投げつける。
「ボコられたいのか
って
聞いてんだよ!」
塗板がへこんで、イ
スはバウンドした。
そばにいた女子の腕
をかすった。



