「なんでそんなこと
知ってるの」
「調べたの」
なんで、と口を開き
かけてやめた。
「……ふーん」
闇の厚みが薄くなっ
て、学校の輪郭が見
えてきた。黒く並ぶ
窓の一角を、非常灯
の人工的な光が満た
している。物寂しい
グリーンを背景に、
人影が現れそうな気
がして、ブタは身震
いした。
「じゃ、はい。ちゃ
んと処分するのよ」
よれよれに重ねた、
不審者注意を促す紙
を押しつけて、くる
っと一回転。ひるが
えるすその鮮やかな
白さに、目がひきつ
られる。爽やかな香
りが漂ってくる。
「またね」
バイバイ。くすくす
笑いながら風のよう
に去っていく。



