「近所迷惑じゃん」
「今じゃなくてさ、
夏祭りとかで」
少女の笑顔が、きし
む。
何か悪いこと言っ
たのかな。
慌てたブタに、慌
てた微笑みがむけら
れる。
「できないんだ」
夜ふけの町内一周
。ゴールは渡瀬中だ
。
てくてく歩きながら
、妖精がうちわを扇
ぐ。幽雅に泳ぐ金魚
が描かれている。彼
女の帯はすけた赤
で、まるでその尾び
れのようにふわふわ
ゆれる。
「一番新しいのは12
年前。いじめを苦に
しての首吊り。あと
はわかんないけど、
何人かいるのは確か
なんだよ」
ひぃ、やめてくれ。
と、ブタは思った。
ぶんぶん首をふる。
とれかかったサング
ラスを素早くただす
。



