゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。


「渡瀬中ってね。今

までに何人か、自殺

してるんだって」

五色橋を渡りきり、

暗闇を指さして、彼

女はそんなことを言

う。ブタは自殺とい

うせりふにギクッと

した。彼女の顔色が

暗くはないことを確

認して、ほっとする



「嘘だあ」

「嘘じゃないよ」

にやっとして、髪に

ふれる。肌なじみの

よい風がひらひらと

浴衣のすそをもちあ

げる。地の色は、た

よりない白で、鮮や

かな紫やぼけた藍の

朝顔がみずみずしく

開花している。

 数十分前、橋の上

でその姿を目にした

ブタがほめると、

「ほんとはゲタがは

きたいんだけどね」

と彼は、はにかんだ

笑みをみせた。

「はけば

   いいじゃん」