レンズの底で瞳を
輝かせ、顔をひたす
ように絵を眺める。
「うん……びっくり
だよ。うまい」
朝と昼と夜でできた
、薔薇のような竜巻。
砂粒で描いたように
軽いのに緻密で、ま
ざりあった色はどこ
までも深く、果てな
く透けている。
よしお君すごい。
絵のことよくわか
んないけど、スト
ンとそう思った。ず
っと見ていると絵の
中にすいこまれてい
きそうだ。
「あいつ、アーティ
ストになりたいんだ
って」
どこかを傷つけられ
たような表情になっ
て、きみひろが呟く
。
「昔は……」
そっとパジャマを置
いて、席をたった。
息苦しそうに表情を
ゆがめ、うぐいす色
の戸をあけ放つ。



