適当な話題を探して
天井を仰ぐ。
「よしおだよ」
「なにが?」
「よしおが描いたん
だよ、その絵。エア
ブラシで」
息をすいこむ間、沈
黙がおりる。
「えー!?」
すっとんきょうな声
をあげて、彼女はイ
スごとひっくり返っ
た。震動で、オモチ
ャの星がぶつかり合
う。
「うっそ。これ描い
たの? こういう壁
紙があるんだって思
ってた」
「じゃあなんで聞い
たんだよ」
「それは……社交辞
令っていうか」
きみひろは体をゆす
って笑う。
「なにそれ」
なおは椅子に座り直
し、首筋をさする。
「うまいよなぁ……
細かいのに勢いがあ
って。なんか、こう
押し寄せてくるもん
があるっていうか」



