ぶわっと、風が吹き
つけてきた。小さな
窓から、記憶の欠片
のように葉が舞いこ
んでくる。
「それからの付き合
いだよ」
例のドングリをポケ
ットからとって、テ
ーブルに転がす。
「その時のドングリ
。ずっとお守りなん
だ」
「アホらし」
「あの時の
心細さを知らない
から、そんなこと言
えるんだよ。
このドングリごとき
が、どんだけ神々し
く見えたかっ!」
そう叫んでしまって
から顔を赤らめる。
「ごめん」
「いや、いい話だっ
たよ」
彼は唇だけで笑った
。ぶっちゃけると笑
っていない。なおは
内心冷や汗をかく。
何か気にさわったら
しい。
「にしても、天井の
絵うまいねー。部長
が描いたの?」



