水色の絵の具を薄く
のばしたような空。
端がしろっぽく見え
、まるで、無いみた
いに高い空。顔中、
涙に濡れていたけど
、みんなに見向きも
されず、胸の奥から
ほどけていってしま
いそうなくらい寂し
かった。
「ね、泣かないで」
ほくほくした声が
鼓膜をなぜる。ぼや
けた視野を林に戻す
と、目の前に手がさ
しだされた。優しげ
なグーが、ほわんと
開く。落ち葉がめく
れあがって渦をまき
、吹き抜けていった
。
「あたし、このみっ
ていうの。だから
ドングリすきなの。
なおちゃんはきらい
なの?」
はにかんだような
笑顔。
「これ、あなあいて
ないよ。だからこわ
くないよ」



