「わかんない。赤い
かな? 暑いから?
えーと、それで?」
ミニ扇風機を顔に
近づけ、しどろもど
ろに言葉をつむぐ。
部長は、けげんそう
に目を細め、針をお
いた。
「熱?」
節のはっきりした、
長い指がのびてくる
。照れも遠慮も一切
ない。
や、
やや、
やめてくれ!
なおの心臓は、じた
ばたしながら声のか
ぎりに叫んだ。
ひたり、と柔らかい
手のひらがふれた。
小さな額(ひたい)
をすっかりおおって
いる。
「熱ないね」
ほっと、眉間を開い
てにっこりする。
至近距離の笑顔。
彼女の肺は酸素をと
りこむのをやめた。
体温があがる。
「ん? 待って、熱
い」



