吐き気をもよおしな
がらも、なんだか悲
しくなった。
その虫達は、あた
しに嫌な思いをさせ
るためだけに、ジュ
ースにされてしまっ
たのだ。
そんなことを考え
る余裕ができていた
。
「相変わらずだな」
チョコチップコー
ヒークッキーを皿に
だしてくれながら、
部長がため息をつく
。
銀のツタと赤い実の
ついた、ふっくらし
たお菓子の缶をあけ
、彼は刺繍(ししゅ
う)針を取り出す。
「あいかわらずおい
しい」
大きさがバラバラの
、きつね色やこげ茶
色をかじり、なおは
笑顔になる。
「そうかな……いや
そうでなくて」
ほんの少し頬を赤ら
めて、彼はなおのパ
ジャマである短パン
に、針を突き立て、
ぐいぐい糸を通して
いく。



