葉っぱを浮かべれば
、すぐにわかる。く
るくるとまわりなが
ら飛ぶように流さ
れていき、ある所で
ふっと沈んでしまう
。おまけに深い。
ブタの声など聞こえ
なかったみたいに、
妖精はバシャバシャ
と水音をたてる。
「いい気持ち。
さすがは雪どけ水」
遥かむこうの上流を
指さし、くすくす
笑う。ガラス片が
ひしめいているよう
な爪の先には、年中
冠雪している山があ
る。
「ひんやりして、
ほーんといい気持ち
。水流がねぇ、軽め
のジェットバスって
かんじ?」
すぅっと目を細めて
こっちをむき、くっ
くと肩をふるわせる
。
ジェットバス。なん
だかおしゃれな響き
だ。ヒヅメを眺めて
うずうずする。



