あたしは
仕方なく立ちあがっ
た。体は、ずぶぬれ
のタオルになったみ
たいに重かった。
そのくせ、カラカラ
と音がしそうなほど
どこかが空っぽにな
っていた。
からっぽ、
空っぽのまま。
家に帰る。
なんで『空』って書
くんだろう。空には
光も
雲もあるのに、とか
考えながら。
「あいつがなおちゃ
んに『薄井このみっ
てキモくない? 友
達やめてさ、あたし
達のグループ入んな
い?』って言ったの
を、ちょーど聞いち
まったんだよね、そ
ん時」
ゆらゆらゆら脳内
をさ迷う過去のでき
事が、ぼやけていく
。
「あいつのいつもの
手だよ。そうやって
クラスで1人だけハ
ブるんだ。1年の時
にやられた子、いま
だに不登校」
吉良は、はふっと息
を吐く。



