「よっちゃん速いよ
~。彼女おいてくと
か、まじ、あれなん
ですけど」
人形みたいに長いま
つ毛をバサバサと羽
ばたかせる。
「わりぃわりぃ。つ
いね」
彼がニカッと謝ると
、色のなかった頬を
紅潮させて、彼女は
くしゃっと笑った。
「ケーキおごってく
れたら許す」
「えー! 部長に作
ってもらえよ~」
「やだよ、材料費払
わせられるもん!」
なおのことも、押し
花にされた走者のよ
うに倒れている常居
のことも、眼中にな
い。
あたりまえのように
吉良の隣に座り、腕
をからませる。
ああ、吉良くん彼
女いたんだ。
発光しているような
少年と光をすいこむ
ような白い肌の少女
を、見比べてほぅっ
と息を吐く。



