五色川は穏やかに
みえて実は流れが速
い。だから、こんな
夜に泳ごうとするな
んて危ないとか思っ
て、
ブタは止めただけな
のだった。でもこん
な時間にこんな子が
いるなんて、よく考
えなくても変じゃな
いか。
「自殺」
「自殺じゃないって
ば」
「じゃあこれは?」
ヒヅメの足元に落ち
ていた茶封筒をひろ
いあげようとする
と、
バネのように勢いよ
くおきあがり、彼女
はそれをさらった。
「……手紙だよ」
「遺書という名の」
「ちがいますっ」
大げさに封筒を抱え
こみ、きれいなレモ
ン型の目を見開いて
いる。白い額から、
だらだらと汗がふき
だしてくるのが見え
る。
「普通の手紙」
「ほう」
「信じてないって目
ね」
「あんたに僕の目が
見えるわけないと思
うけどー?」
サングラスを指さし
て、ちゃかす。
だが……。



