うっとうしい涙を止
めるためにも、蛇口
を解放した。代わり
に泣いてくれる人間
なんていないから、
水道に泣いてもらっ
た。
息を吐いて
顔をあげる。
げ、と口をあけた。
そなえつけのミラー
に映っている、磨か
れたような瞳と、目
があった。
ぽかんとあいた口を
どう閉じたらいいか
、また、そのあとど
う開いたらいいか思
案する。
「女子便なんだけど
……」
ごしゅごしゅ、涙を
ふいて、しゃんとす
る。本当は優しい人
なのかもしれないと
、気になっていたり
したが、さきほどの
対応はあんまりだっ
た。やっぱ、冷たい
人なんだ。なおは親
の仇でも見るような
目をする。



