「なんだよその運び
方!」
吉良の叫びを、しら
んぷりして平然と廊
下にでる。窓辺によ
っかかって雑談して
いた生徒達の表情が
石化する。
「歩くから放して」
真っ赤になって声を
かけると、感情の薄
い顔でふりかえる。
「そう?」
それをキッとにらん
でスカートを払い、
歩幅を大きくしてト
イレにむかう。必死
に肩を怒らせる。
もう、ほんと勘弁
してほしい。スープ
どころかホコリまみ
れ……ぼろぼろじゃ
ん。
息が苦しくなって
きて、視界がにじ
む。このみの発言と
か、いろいろなもの
がまじりあって、ほ
っぺたを滑り落ちる
。洗面台に手を置き
、水をだす。嗚咽が
もれる。外には聞こ
えないように、どん
どん水流を強くする
。



