ニッと笑えば鋭い犬歯が見える


「聞いたぞ、魔力の検査お前が最下位だって。マジ勘弁して欲しいぜ」


犬耳の少年は挑発するようにわざとらしくため息をつき、鼻で笑う


「クラスの魔力を平均にするために俺様と同じクラスになるのはしょうがないけどよ、月一のクラス対抗戦は足ひっぱるなよ?」



バーン



いやいや

俺は何も悪くないと思うぜ?




「何だと!?この犬っころ!何かしらねぇけど調子こいてんじゃねぇぞ!!」



爆弾、爆発



シンと静まり帰った教室でフェイトの声が木霊するようだった


「人間、人間っていちいちうるせぇ!わけ分かんねぇことで絡まれんのはもうたくさんなんだよ!」


まさか反論してくるとは思っていなかったのか、犬耳少年はポカンと口をあけていた
しかし、直ぐにハッとしたように言い返してきた



「なっ、何だよ!ホントのこと言っただけだろ!それに俺は犬じゃない、狼だ!!」

「たいして変わんねぇだろ!」

「なにぃ!?全然違う!」


犬耳少年……ではなく、狼少年は椅子を蹴って立ち上がり噛み付くように睨んでくる
フェイトも負けずに睨み返す


すると突然、第三者の声が割り込む


「貴方たちの言い合いなんて全く興味なんてありませんけど……一つ言わせていただきたいわ」


口を挟んだのはベステモーナ・アイスバーンだった
彼女は凛とした眼差しで言い放つ


「私が学年1位よ!」


胸を張って言い放つ
なんなんだコイツは!?
呆れながらもフェイトは怒鳴った


「んなもん今関係ないだろ!」


「関係あるわよ!学年最下位の貴方がこのクラスなのは私が居るからなのよ?じゃないと釣り合いがとれないの。そこの犬が居るからじゃないわ」


「犬じゃないって言ってんだろ!」



狼少年は毛を逆立てて少女を睨んだが、その時


「はーい!もう、おしまい」


高い声が上がる


プティ先生だ
先生は小さなビンを2つ取り出し、それを投げた


「フェイト・クロウリー、ヴォルフ・シュタイン、汝らをここに封じる」