「でも地面じゃなく、フェイト・クロウリーにぶつかったわね」
「だから変なんです。この魔法式を帯びていたヴォルフにぶつかっても、1人くらいなら演習場の外に行くはずです。それに……」
リーバは白く細い指を顎に当てて思い出す
「……魔法の術式が歪んだんです」
「…歪む?」
武術科では見たことのない男の子にぶつかったヴォルフを見ていた
鈍臭い奴もいたものだと思った次の瞬間
術式に巻き込まれたその子が手を地面につこうとしたとき、次元が歪んだ
ねじ曲がり呑み込まれていく2人の姿を見ていることしか出来なかった
「魔法が失敗したのなら、2人がどこかへ行くことはないはずです」
「……確かにそうなのよね」
だからこそ困っていた
今、探索魔法を使い教師陣が2人を探していた
だが、メディアは一つの都市だ
すべてを捜索するのには骨が折れる


