誰か呼びに行こうとして2人の争いに背を向けていたフェイトにはソレは見えていなかった
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ヴォルフは斬撃をかわし高く跳躍する
2人の攻撃は土をえぐり、薄い砂埃が舞う
まわりにいた武術学科の生徒は素早く広い演習場の隅に移動していた
ディンとブラッドも同様で、近くの木の上に退避したがすぐにしまった、と息をのむ
「フェイト!」
首だけ後ろに向けたフェイトに見えたのは、勢い良く飛んでくるヴォルフの背中だった
「ウァァァァア!?」
ぶつかる衝撃、しかし地面に叩きつけられる衝撃は襲ってこない
変わりにグニャリと何かが歪む感覚に襲われる
それが気持ち悪くて無意識に手を伸ばした
そして、視界は暗転した


