今にも殴りあいそうな雰囲気をほおっておけず、誰か呼びに行こうとすれば、それは瞬く間に起こってしまった
「その口黙らせてやらぁ!」
「ハッ!やってみなよ!」
ヴォルフが叫んで構える
その手に武器はなく、鋭い爪をたてた
それにかまわず、少女は細身の剣を抜いた
「百夜の月 狩るのは鷹 兎はその牙をさらすことはなく伏す」
「千の夜の闇 赤い月に牙をたてるは 獣の証」
2人は詠唱を唱える
武術学科では武器にあらかじめ術式を組み込んでいるので詠唱だけですぐに魔法を使うことができる
2人が詠唱を唱え終わったのは同時
少女は剣を高速で振るい赤い斬撃を飛ばした
その姿はスカートの裾をはためかせただけの優雅な攻撃だ
ヴォルフは逆に全身を鞭のようにしならせ、その鋭い爪から白い斬撃を走らせた


