ヴォルフ・シュタイン
人狼族である少年は今、自慢の耳もシッポもしょげさせて地面に座り込んでいた


「……腹減った」

「お前が言うな……誰のせいだと思ってんだ」


力なくヴォルフの言葉に反論するのはフェイト・クロウリー

珍しく背中合わせに座り込み、2人は大きくため息をついた

そして同時に2人の腹が盛大になった



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事の始まりは8時間前


魔法武術学科の演習場にフェイトは遊びに行っていた
武術科の生徒は自習時間でもペアを組んで対戦をしている

それを見学するのはなかなか楽しいものだ
魔法をそれぞれに使い、跳躍し、火花散る戦闘は演習ならばとても見物だ


「ディンは剣なんだな」

「そっ、カッコいいだろ」


スラリとかざして見せたのは中世の騎士が持っていそうな洒落たものだが、その鋭さはまさしく戦うための武器だ


「ブラッドも同じのなんだな」

「そっ、双子ッポイでしょ?」


そばで剣の手入れをしていたブラッドに声をかけたが、視線をチラリとよこしただけで答えたのはディン

しかし、ディンのふざけた答えにブラッドは小さく息をついて呟く