入学式で新入生代表の挨拶をしたのはさっきの高飛車な少女だった
「新入生代表、ベステモーナ・アイスバーン。僭越ながら………」
スラスラと挨拶をするその姿は凛々しく、どとなく気品がだたよっていた
(あの野郎……成績いいんだな)
新入生代表は確か、入学生の中で成績トップの人物がやるはずだ
フェイトは、その姿を見ながらモヤモヤとしたものが胸の内に溢れていた
『期待外れだわ』
何だというのだろう
期待?そんなもの……勝手にするな
「それでは、魔法学園‐メディア‐が誇るクラリス・アレイスター校長から新入生に挨拶をして頂きます」
どこからこの大聖堂全体に響く声をだしているのか、口髭を蓄えた背の低い小太りの男が声を上げた
その時、火花が散る音が響いた
赤い火花は渦を描いて空中を旋回し、一度舞あがってからまた弾ける
弾けた火の粉はフワリとその姿を変える
火の粉の代わりに舞い降りたのは、真っ白な花弁だった
生徒が歓声を上げる
「CGじゃない………これ、魔法か……?」
フェイトが落ちてきた花弁に手を伸ばせば、手のひらに乗った白い花びらは淡雪のように溶けて消えた
そして、大講堂の壇上に1人の老女が現れた
「こんにちは、新入生の皆さん」
クラリス・アレイスターは壇上の前でフワリと微笑んだ
「この魔法学園‐メディア‐の校長を務めています、クラリス・アレイスターです。新入生の皆さん、この学園では多くの種族が共に魔法を学びます。育った環境、それぞれの価値観、それらの違う価値観に触れることで、これから何より大切なことを学ぶことでしょう」
ゆっくりと紡がれる言葉は新入生の心に染みるように響く
「貴方たちの未来に、多くの幸があらんことを願います。ご入学おめでとうございます」


