厳格な父は言った
『ベステモーナ、お前は一番でなくてはならない』
それはプレッシャー等ではない
『奴ら………デスイーターどもから自らの一族を守る為に』
数少ない純血のエルフ
ベステモーナ・アイスバーンは全てのエルフ族の故郷『アルフヘイム』に住んでいた
土の民、人間の立ち入ることのない地球の異次元にある故郷で、アイスバーン家は守りの魔法を使いアルフヘイムを守っていた
純血としての生まれ持つ強力な魔力を完全に扱えなければならない
ならば、魔力の扱い方を教える学園で一番になることは、ベステモーナにとって当たり前の事なのだ
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「そう言えば『人間』の子が入って来るって本当なのかな」
入学式
新天地で迎える始まりの日にはおあつらえ向きの快晴
ベステモーナは魔法学園の正門で誰かの噂話が耳に入り、思わず足を止めた
その内容がベステモーナも気になっていたせいもあるだろうが
「その噂、ホントみたいよ!」
「じゃあ本当に人間がいるの?」
「うん。あたし、さっき初めて見たわよ」
「見たの!?」
ベステモーナは噂話をしている少女達の好奇心に溢れる顔を見た
「薄茶の髪に金色の目で、かわいい顔してた」
「あたしも見たい!本当に羽も毛もないのかしら」
魔力を持っていれば、自然に人型をとることができるが、妖精ならば羽、鳥獣や狼の一族なら耳や尾など様々な場所に本来の姿の特徴が残るものだ
魔力が強ければ、それらを完全に消して人型になれると言われている
「あたしが見る限り何もついてなかったわ」
「やっぱり魔力が強くて、凄い技でも持ってるのかしら?」
「それはわからないけど……やっぱり人間なんだから凄い魔力を持ってるのかもしれないわね!」
やっぱり
そう言われる『人間』
ベステモーナはまた歩き始める
その歩みには苛立ちが含まれていた