「そんな事いって、本当は戦うのが恐くて気絶でもしてたんじゃないのか?」
突然、ヴォルフが皮肉るように笑った
フェイトは目をすがめて睨む
「うるさいんだよ犬」
「誰が犬だ!?人間のくせに生意気だぞ!」
「何とかのくせに、なんてどっかのガキ大将レベルのこと言うなよ。そんな事より……」
フェイトはヴォルフを無視して会話を再開する
やはり、後ろでヴォルフは無視するなと騒いでいるがそれを宥められ、こちらは無視を決め込む流れができていた
「でも、本当に不思議だ。まるで『闇の賢者』に出会ったみたいだよ」
「それはさすがにないでしょ」
パシィが言えばディンが笑い飛ばす
フェイトはブラッドの隣に座るディンを呆れ半分、戸惑い半分で見た
少し前にディンは、フェイトに向けてある感情の一端であろうものをぶつけて来た
階段での出来事だ
しかし、あまり気まずい空気にはなっていない
これまでの人生、それなにり友人関係があったフェイトは不思議に思う
喧嘩と呼べるかは解らないが、感情をぶつければそれなにり今までのままでは居られない、はずだが……ディンはあの日以降も今までと変わらない
「『闇の賢者』って何だ?」
「フェイトは賢者のこと知らないのか?」
ディンは対して驚いた様子もない
ベステモーナが説明してくれる
「この世界における最も偉大な魔法使い達の1人よ」
「ちょっと聞いたことあるな……ここの校長先生もそうなんだろ?」
「ええ、クラリス・アレイスターは『風の賢者』と呼ばれているわ。『闇の賢者』はね、自身の姿を見られる事が嫌で出会った人は闇の賢者に眠らされてしまうの」
「闇の賢者が街に行けば、街の連中は知らない間に1日が過ぎてるって、たまにある話しだな。知らない間に眠っていたら、『闇の賢者』に出会ったと思えってさ」
お伽噺でも語るようにディンは言うが、実際に知らない間に4人が眠っていたのだ
その可能性はあるとフェイトは思ったが、それはすぐに否定された


