魔法学園‐メディア‐




ブラッドに声をかけたが、フェイトは振り返り驚愕する

ブラッドもいつの間にか寝ていた


「嘘だろ……?」


あまりの事態に茫然として呟く
壁に寄り掛かる様にして3人は眠っていた
ハッとして裏門を見ようとしたが、またフェイトは驚く


黒い少女が裏門の外側からいきなりフェイトの前にたっていたのだ


少女の瞳は夜の闇を切り取ってきたかのように深い漆黒だった
それに対して肌は雪のように白いが、顔立ちは何故か印象に残らない

少女は静かに口を開いた


「見つけた……」


フェイトは何故か動けない
少女の瞳に呑み込まれるような錯覚を覚える


「やっと逢えたわ……」


少女は瞳をこゆるぎもさせないが、声だけは切なく揺れている
白い手がそっとフェイトの顔を引き寄せた


「たった10数年なのに……わたくしには幾億年にも感じましたのよ……」


いつの間にか少女の手は首の後ろに回されていた
肩に額をあてるように擦り寄ってくる
それでもフェイトは動けない


パキン


金属の弾ける音がした
すると少女はサッと身体を放して、初めて驚いたように目を見開く


「いやだですわ……まさか………」


少女が呟いたとたん、風が吹き抜けた
強い風にフェイトが咄嗟に目を閉じると、次に目を開いた時には闇色の少女は消えていた


フェイトは夢でも見ていたのか、と首を傾げた
しかし、あり得ない眠気が襲い、壁に背を任せてフェイトは重い目蓋を閉じた


「な………んで……?」



********



「まぁ、いやだ……」


漆黒の少女は瞳に苛立ちを込めて目の前にいる女を見た


「クラリスの小間使いが、わたくしになんのようですの?」


女……アンジェリーナは少女の苛立ちに動じる事無く微笑んでみせた


「ここは『風の賢者』クラリス・アレイスターの領域です。貴方のような方が干渉されては困りますね」


「……私にそんな事が関係あると思った?」


見た目大人のアンジェリーナよりも幼い姿をした少女の方が何処か圧倒される威圧感を持っていた


ゾッとするような笑みを少女は刻む