魔法学園‐メディア‐




凝った意匠の裏門は守りの魔法がかけられているため、内側からも外側からも干渉することは出来ない
裏門の向こう側は、淡い空が果てしなく続いている


裏門の外は門から数メートル渇いた大地があるが、そこから下は断崖絶壁だ


「……ここって本当に空の上なんだな」


しみじみとフェイトが呟けばパシィは呆れたように言った


「当り前でしょ、魔法学園は宙に浮いているものよ」

「あのなぁ、人間の世界にはそんなのあり得ないの!」


フェイトが言うと純粋にパシィは驚いている


「人間以外の種族は天空に近い、ある意味異次元に住んでるから……」


レクルが言えば、フェイトもパシィも何となく納得する
世界の隔たりは何処にでもあるものだ


「レクルは何処に住んでるの?」

「私はナパイアイ、谷精なの。だから谷の合間に住んでる」

「へぇ、あたしはだいぶ違う所に住んでるな。高い山脈の森に家がある」


フェイトはふと疑問に思った


「パシィってやっぱ飛べるのか?」

「飛べるわ。人型の時はそうでもないけど、獣型になれば鳥と一緒」


フェイトは目を輝かせる
やはり空を飛ぶのは人類の夢だろう


「スゲー!いいな」

「そんなに珍しい事じゃないと思うけど?妖精だって飛べるわ。ねっレクル」

「そうね」


レクルは薄い四枚の羽をパタつかせながら、極普通のトーンで言った


「でも、飛べても大したことはないわ。デスイーターも飛ぶし、何処でもお構い無し」

「そうだね。あいつらに対抗出来るのは魔法だけ」


またフェイトは違和感を感じた
それが形になろうとしている


「魔法陣ってずっと張ってる?」

「私の村はずっとは張ってないの。夜だけ」

「そっかー、やっぱずっと守りの魔法を使えるなんてエルフ族だけかぁ」


当り前のように話す彼女達
それはフェイトの見たことのないデスイーターとやらが襲って来ることが当り前なのだ


彼女達の言葉にほんの少し滲む悲しさ
それは、魔法を使い戦って来たもの達の悲しさ?