「ちょっと、貴方何してるの?」


振り向くと、そこには綺麗な少女が腕を組んで偉そうにフェイトを見ていた


気の強そうな青い瞳
金髪に近いが翠がかって黄緑色の光沢があるくせのない長い髪が膝裏まである


整った顔立ちに尖った耳が印象的で、まず人間ではないと思う


制服のネクタイの色はフェイトと同じ色、つまり同じ新入生ということだ


「貴方ふざけてるの?こんなの子どもにだって息をするくらい簡単にできるわ」


高飛車な言い方にムッとして、フェイトは言い返す


「誰もふざけてなんかねぇよ。こんなの初めてやるんだからしょうがないだろ」

「初めて?」


少女は呆れたように言い、周りにいた人も成り行きを見ていたのか、驚いたように騒ついた


「貴方……人間よね」


「ああ」


少女の瞳には怒りにも似た色が浮かぶ
キリリと険しく睨み付けてくる少女
その意味を分かりかねて内心首をかしげる


「百年ぶりに入学許可の出た人間だから、もっと期待してたけど」


少女はそのまま踵を返した


「期待外れだったわ」


唖然としてフェイトはその少女を見送ってしまった
そして、アイツが絡んで来たせいでまた変な注目を浴びている
フェイトは拳を握りしめてプルプルと震える


(何だよアイツ!?ムカつく!!)


受付の人は気まずそうに白い石の事を説明してくれた


その石に魔力をこめるとその強さがわかるのだそうだ
それを元にクラス編成を行うらしい


「魔力をこめるにはまず、手をかざして石に集中して下さい。お腹を意識しながら」



四苦八苦して、何とかその石に魔力をこめられたのは入学式が始まる直前だった