Aクラスの本陣
ベステモーナは校庭にいた
そこにはクラスメイト20人程がいる
奇襲部隊に10人程が別行動をとっていた
「でも凄いわ……」
1人が感歎したように呟く
校庭のど真ん中に本陣を構えている
普通ならこんなに目立つ所に本陣を構えるなどあり得ないのだが、それを可能にした人物がいた
ベステモーナだ
「何でこんなシールド維持できるんだ?」
「……魔力の根本が違う」
「やっぱり、純血は違うのね……」
皆、羨望の眼差しでベステモーナを見るわけではない
ほんの少し水面上に浮かび上がる嫉妬や皮肉をベステモーナは毛ほども気にすることはない
20人を楽々囲みこむ白く淡いシールドは校庭にデカデカと書かれた魔法陣から放たれている
中から見れば霧がかかったようになっているが、外からは20人もそこに居るとは分からないようになっている
「奇襲部隊はどうなっていますか?」
ベステモーナは隣に立つ少年に目を向ける
その少年は薄く目を開けて、眠たげな目をしている
しかし、額にあるもう一つの瞳は遥か遠くの情景を見ていた
「ブォルフが奇襲に成功したみたい。彼、口だけじゃないんだね」
クスクスと少年は笑う
「予定通りIクラスはこっちに向ってるよ。第2陣にもうすぐ当るかな」
ベステモーナは頷く
ベステモーナの張ったシールドの中では他のクラスメイトがそれぞれ魔法陣を書いて迎撃の準備をしている
作戦は予定通りに進んでいる
ブォルフの奇襲部隊は二手に分かれている
ブォルフのいる第1陣が索敵班の見つけたIクラスの本陣に突っ込み、直ぐに引く
それを追い掛けて来た所をディンのいる第2陣が攻撃、更にこの校庭に追い込み、そこを叩くことになっている
その布陣は綿密ではないが、今はそれで良いとベステモーナは思っている
まずは経験の少ないクラスメイトに自信をつけさせるべきだ
魔力を高めるには魔法陣を使った攻撃が有効だが、それをすることは難しい
魔法陣を書いている間に攻撃をされればお終いだからだ
だが、ベステモーナのシールドはそれを可能にする


