クラス対抗戦では、まずバラバラに行動することはない
索敵班やトラップ班、奇襲部隊以外はまとまって行動する
先にその団体を潰した方がやはり勝利を掴む
そのためにトラップを相手も仕掛けてくる
フェイト達は索敵班だ
バシィとレクル、ブラッドはAクラスの集団から離れて森へ向かった
「ブラッドはフェイトを連れて来てね」
パシィはそう言うとレクルを姫抱っこした
そこでパシィに変化が起こる
「パシィ!?」
「あぁ、フェイトは初めてみるのね」
彼女の黒い宝石の様な瞳が笑みを作る
パシィは制服の袖をなくし、二の腕からむき出しにしている
その腕から鳥類の様な羽根が生えてきたのだ
「あたしは鳥獣族だから。さっ行くわよ」
あっさりと言ってパシィはレクルを抱いて跳躍する
人間ではあり得ない跳躍力にフェイトは目を丸くする
「俺たちも行こう」
「あっ、ああ……って!何で姫抱っこ何だよ!?」
自然に姫抱っこをしようとしたブラッドにフェイトは待ったをかける
「アホか!俺がマヌケだろ」
「じゃあどうやって行くんだ?お前はパシィに追い付けないだろ」
彫刻めいた表情を動かさずに言うブラッドにため息をつく
「確かにそうだけどな。これでいいだろ?」
フェイトはブラッドに背を向けさせて首に腕を回したおんぶの体勢になって先を促す
「ほら!早く行くぞ。置いて行かれる」
ブラッドはフェイトの行動にキョトンとした顔をしたが、フェイトの足を固定して跳躍した
(バンパイアってすごいんだな……でもおんぶ位思いつけよ)
フェイトは背負われながら思った
前を行くパシィ程ではないが、ブラッドは木々を蹴って軽やかに森を進んだ
4人は木々の頭の高さを越えないように低く行動する
しばらくして、レクルが止まるように言った
「罠を仕掛けるとしたらこのあたり……」
パシィは木の枝に止まり、ブラッドもそれにならう
虫眼鏡の様な物を取出し、レクルはスペルを唱えた
「カエルの目 狼の顎 我の眼に真実を見せよ」
虫眼鏡が淡く輝き、レクルは辺りを見回す


