目が覚める
体を起こせば、少しもつれた自身の髪がベッドについた手に触れる
髪留めを使い初めて殆ど切らずにいたフェイトの髪は腰にとどく程のびていた
外してはいけないので、寝るときや髪を洗う時でさえ外さない
銀の髪留めは水に濡れても錆びることがなかったので不便はない
窓を見れば朝日が差し込んでいた
フェイトは今日始まる事を思い、緊張で少し気分が下がる
今日はAクラスとIクラスの対抗戦が始まるのだ
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「皆さん」
ベステモーナはよく響く声で言い放つ
凛とした瞳で見据えるのはクラスメイト、約50人
緊張とほんの少し興奮を滲ませた空気はフェイトだけでなく皆感じている事だろうか
男子生徒は何時も通りだが、女生徒は何時もとは違いスカートではなく短パンをはいている
これから激しく動くためだ
「相手は同じ学園に学ぶ仲間ですが、容赦してはいけません。制服にはちゃんと魔法がかけられているのでどれだけ攻撃を加えても死ぬことはありません」
ベステモーナはかなり激しい事を口走っているが、フェイト以外は平然と聞いている
フェイトはやはりこれも種族が違うせいだろうかと、内心首を傾げる
「コレはデスイーターとの戦いの第一歩!相手はデスイーターだと思って、力を出し切り、必ず勝ちましょう!」
高らかに放たれた声に皆雄叫びを上げる
クラス対抗戦の始まりだった
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メディアの時計塔
以前フェイトが入った内部ではなく、さらに上
鐘が備え付けられた場所にアンジェリーナは立っていた
下を見れば立ち眩みそうなほど高い場所でアンジーは悠然と微笑む
「さて、あの子はどんな面白い事をしてくれるかな?」
常人には見えないであろう数キロ先の森を行く4人の人影を見て呟いた
今日はクラス対抗戦
とはいえ、何故か肌がピリピリとする
生徒達の放つ闘志とも違う、肌を逆撫でするようなこの空気をクラリスは知っているのだろうか?
「私の出番があるのか?」
アンジーの小さな呟きは風に押し流された