苦笑いを溢せば、ベステモーナは眉を潜めてフェイトを見る
「情けないことをいわないで、貴方はなけなしの感を最大限発揮しなさい」
「なけなしって何だよ」
フェイトの言葉を聞き流してベスは教室を見回した
「それともう1人……ブラッド君、フェイト達と同行してもらえますか?」
教室の隅に座っていたブラッドは軽く目を見開いたが、無表情をそれ以上崩す事無く頷いた
しかし、ディンが不満げに口を出した
「えー!ブラッドでいいなら僕が行きたい」
「ディン君には二次襲撃班に加わってもらいたいのですが」
「えー。フェイトからも言ってよー、そしたら一緒いて守ってあげるよ、姫?」
「誰が姫だ!気色悪いこと言うな」
「だって、フェイトは戦力外だよ?パシィは武術学科で、レクルさんより弱いだろうし、姫じゃん」
「グッ……!」
ディンのあまりな言い方にフェイトの男のプライドはズタズタだ
見た目か弱そうなレクルよりも強いとは言い切れなくて情けない
だが、フェイトは基本魔法もままならないのだ
「うるせぇ!お前は戦場で揉まれてこい」
不貞腐れたようにディンは口を尖らせる
「えー……」
「ディン君は派手に立ち回れるでしょう?お願いしますね」
「はーい」
不満を残したままだが取り敢えずディンは頷いた
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粗方話はまとまり、フェイトは家路に付こうとしていた
教室を出るとき、ブラッドが近くの階段から降りるのが見えてそれを咄嗟に追い掛けた
「フェイト?」
一緒に帰ろうとしていたディンが訝しげに言ったがフェイトはブラッドを追い掛けた
「悪い!先に行っててくれ、すぐ行く」
ディンを残してブラッドを追い掛ける
階段をかけ降り、廊下の角を曲がったブラッドに声をかける
「ブラッド!」
振り向いたブラッドは眉一つ動かさなかった
ディンと瓜二つの容姿だが、纏う雰囲気はまるで違う
「何だ」
ブラッドは淡々と言った


