毛を逆立ててディンに飛び掛かろうとするブォルフを周りの奴らがどうにか宥める
ベステモーナも呆れたようにブォルフに言い含め始める
確かブォルフもディンも魔法武術学科だったはずだ
「何でわざと気を逆撫でするようなこと言うんだ?」
「僕は悪くないんだよ?バンパイアと人狼族は昔から仲が悪くてね」
「そうなのか?」
「ブラッドにだっていつもあんな感じだよ」
でも、お前はブォルフのことおちょくってるだろ?
とフェイトは思ったがあえて言わなかった
ブラッドも同じクラスだがフェイト達からは離れた場所に座っている
「ブラッドってお前と双子だけど無口……っていうかさ、俺のこと避けてる?」
チラリとブラッドを盗み見てディンに小声で耳打ちした
ディンはあぁ、と呟いてクスクス笑った
「そうだなぁ、ブラッドは照れてるんだよ」
フェイトにはそうは思えなかった
別に邪険にされているわけではない
むしろブラッドはベステモーナの兵器に倒れたフェイトに優しくしてくれたと思う
素っ気なくではあったが、食べれるご飯を届けてくれたのだ
しかし、同じクラスで同じアパートにしては出くわす事が極端に少ない気がするのだ
「そうかな?」
「そうだよ」
フェイトは不意に理解した事があった
ディンの血のような赤い瞳を見て、その奥にある物を不意に拾い上げてしまった
(こいつ…………)
「では貴方が先陣を切って相手を撹乱させて下さい」
「任せろ!」
ベステモーナが1人で突っ走るブォルフと話が付いたらしく、改めて話に戻った
そこで、とりあえずフェイトはディンとブラッドの事を頭から切り離す
「最初の相手はIクラスです。相手が本陣を構えている場所を的確に索敵したのち、ブォルフくんには本陣に攻め込んでもらいます………それから……」
フェイトは何処か遠くを見るようにベステモーナを見ていた
(俺は何にもできないしな……)
情けなくは思うが、事実だ
ベステモーナの話す作戦にクラスメイトは自分はなにができる、どの役割が自分には向いている、と意見を出しあっている


