フェイトが歩いていく姿を好奇心とは違う視線で見つめる者が幾つかあった
気の強そうな青い瞳をした少女はじっと後ろから見ていた
「あれが………『人間』」
その呟きには怒りにも似た感情がこめられていた
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「あれ?」
大講堂に続く並木道の木の上で幹に背中を預けていた少年が声を上げた
美しい容姿の少年だった
その声に、直ぐ側の枝に乗って読書をしていた同じ顔の少年が顔を上げた
「アイツ、人間?」
読書をしていた少年はそういった少年の視線の先を見た
色素の薄い髪をした少年が大講堂へ向かっていた
少年の周りは奇妙に遠巻きができている
しかし、その少年を見て眉を寄せる
「何故、人間が?」
「しーらね。でも……ヤバいなぁ」
少年は妖しげに赤い瞳を細めた
「せっかく禁欲してんのにさぁ、ご馳走が目の前に居るなんて……」
「……ディン」
読書をしていた少年は持っていた本を下ろして、もう一人の少年を睨み付けた
「わかってるよ、ブラット」
軽薄な笑みを浮かべるディンにブラットは更に視線を険しくした
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教会に似た大講堂は落ち着いた趣で神聖な雰囲気があったが、今は新入生の明日への期待と緊張で騒ついていた
だが、フェイトは困っていた
「あのー……」
「あっいや、スミマセン……ちょっと、その」
狼狽えるフェイトを受付をしている人は苦笑して見ていた
受付では丸く白い野球ボール程の石を置いてある
入学手続き用の書類を出して何故かそれに手をかざしてくれと言われたのだ
なので、フェイトは手をかざしてみたが何も起こらない
「どうしました?魔力を込めてみて下さい」
と、受付の人は言う
しかし、そう言われてもその意味が分からない
なので、頑張って石を握り力を入れる
「ウォォオ!」
しかし何も起こらない
その時、後ろから声をかけられた


