『グールの呼び声』
それは扱い方を間違えなければ決して危険な物ではない
しかし、ちょっとした油断でそれは起こってしまった
「フェイト君！！」
悲鳴のようにジェイミーが叫んだ
目の前には黒い枝がまるで生き物のように蠢いている
『グールの呼び声』は水に溶かして使えば水中でも息をすることができる魔法薬だが、それ以外の場所で使えば辺りの生物を取り込もうとするのだ
「何だこりゃ！？」
フェイトは生き物のような動きを見せる黒い枝に足を取られ宙吊りにされる
ビンを取ろうしていた３人組も同じく、振り回されるように枝に身体を掴まれている
「お前ら！なんでこんな危ない薬品を取ろうとしたんだ！？」
今更遅いと思いながらもフェイトが叫べば恐怖に歪んだ顔で１人が叫ぶ
「こんなことになる何て思わなかったんだ！俺達のチームのさっ、参考にって！」
「くそっ！！」
フェイトは短く悪態をついて、振り回されながらも状況を見ようと顔を巡らせる
ウィリス先生は素早く守護魔法で他の生徒を守ろうとしていた
ギシッと嫌な音を立ててフェイトは黒い枝に右手と首を絞められる
グッと息を詰めれば視界の端にベスが映った
教室を這うようにして広がる黒い枝を器用に避けながら何かを叫ぶ
すると、フェイトに向かって上げられたベスの手の平に魔法陣が浮かび上がる
ベスの青い瞳と視線が合った
その瞬間フェイトを締めあげていた枝が消失した
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フェイトが叫んで、教室はパニック状態に陥る
先程ベステモーナ達が作った薬品は木の床を蝕むようにして黒い枝になり、フェイト達は飲み込まれた
「大変！グールの呼び声は生きてる物を飲み込むの！」
ジェイミーが顔を蒼白にして叫んだ
枝は２人にも向かってくる
ベステモーナはジェイミーの腕を取って蠢く枝をかわした
「ジェイミー！あの薬品の属性は！？」
「えっ？」
「早く！」
鋭く言い放つベステモーナにジェイミーは半ば呑まれながら、グールの呼び声の特性を記憶の中から掘り起こす
