ウィリス先生は気付いていない
その3人組は机に置かれたビンを勝手に持って行こうとしていた
そのビンの中身は先程フェイト達が作った薬品だった
咄嗟にフェイトは叫んだ
「おい!お前ら!」
「わっ!」
突然の大声に生徒の視線が集まった
その3人組もビクリと飛び上がっていたが……
「わっ!?馬鹿やろ!」
フェイトは飛び出した
その3人組は驚いた拍子にビンを落としたのだ
それを見て嫌な感じが更に増した
受け止めようと勢いよくフェイトはスライディングしたが………
「あっ!」
フェイト手が受け止める寸前でビンは堅い床に激突してしまった
ウィリス先生もそのことに気付いて叫んだ
「みんな!下がって!!」
3人は狼狽えながら下がろうとしていたが、しかしそれは阻まれる
「うわぁ!!?」
フェイト、そしてその3人を黒い枝が覆い隠した
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校長室
その部屋の主である老女は紅茶の入ったカップを片手に、机に置かれた水晶玉を見ていた
「あらあら……もう問題が発生したの」
おっとりとした口調で、しかし眉をひそめた
水晶玉にサッと手を振る動作をすれば水晶玉の中に美しい金髪の美女が映る
「アンジェリーナ、ウィリス先生のもとに行って貰えません?」
すると、水晶玉中から玲瓏とした声音が届く
「始まりましたの?」
「いいえ。『その時』はまだですよ。今回は薬品の暴走です」
にこりと、クラリス・アレイスターは微笑む
水晶玉に映る美女、アンジェリーナはふと、何か思い出したように赤い唇を吊り上げた
「直ぐに片付けて来ますね、クラリス様。多分、魔法術式科に面白い子を見つけたんです」
そう言い残して、アンジェリーナは水晶玉中から姿を消した
移動したであろう彼女にクラリスは微笑む
「アンジェリーナ、もうアノコを見つけたのね」


