魔法学園‐メディア‐




フェイトはしげしげとジェイミーを眺める
見た目はたいして人間と変わりない
お伽噺では主流の人魚が目の前にいると言われてもあまり実感がなかった


(でも……俺ヤバいな。もうこの状況に慣れて来てやがる)


養父にメディアのことを聞くまでは普通の学校へ通いケータイだとかパソコンだとかを使っていたのに………自分の順応性を褒めるべきなのだろうか?


「完成した薬品はどうすればいいのかしら」

「…多分外で使って見ればいいのかな?」


ベスとジェイミーが相談しあっていると、この課題を出した張本人、ウィリス先生がやって来た


「本当に君たちは優秀ですね」


ウィリス先生はハーフエルフらしいが、どこかの民族衣装らしき細工の施された服を重ねて着ている
見た目は20代前半の青年程だ


ウィリスはにこりと笑って薬の入った薬品を取り上げる


「君たちの集めた薬草はとても珍しい。それからできる薬品もね。使わせてあげたい所だけど、この『グールの呼び声』は使い方によっては危ない代物だから私が預かるよ」



******



「やったな!ジェイミーが薬学科だったから早く調合出来た」


フェイトたちはヒマを持て余していた
一番に終わってしまった為だ
後から来たチームがそれぞれ集めた薬草を調合し始めている
ウィリス先生は増え始めた生徒の対応に追われていた


「そっ、そんなことないよ!……基礎知識だけで出来るものばかりだったから」


少し頬を染めて謙遜しようとするジェイミーにベステモーナが珍しく人を褒める


「そんなことないわ。ファンドラの薬草を使った物なんて基礎知識だけじゃ作れないのよ」

「だってさ、もっと自信持てよジェイミー」

「フェイトは感だけじゃなくお勉強の方が大事だけどね」

「あ〜の〜な!」


2人のやり取りにジェイミーはクスクスと微笑んだ


3人は時間を潰すために他愛のない話をしていたが、ふとフェイトが顔を上げた


第六感


フェイトは幼い頃から感が鋭かった
今、一瞬だけ冷たい何かが背筋を撫でたのだ


振り向き、最初に見たのはウィリス先生の机
そこにコソコソと集まる3人のチーム………