地図を手に廊下を歩いていたベステモーナとジェイミーの後ろでフェイトはキョロキョロと辺りを見回す
(……まただわ)
ベステモーナもこの廊下のどこに薬草があるのか視線を巡らせて探していた
しかし………
「あっ!ここだ」
フェイトが嬉しそうに声を上げる
ベステモーナは驚いて振り返る
「貴方、本当に感がいいのね……」
呟いたベステモーナの視線の先にはフェイトの腕、その腕は歪んだ空間に呑まれてぼやけている
場所を混乱させる魔法をかけられていて、しっかりと魔法に触ると魔法は空間を歪めたようになる
フェイトは幻影魔法を見破ったのだ
ジェイミーはフェイトを見て驚いている
これは偶然ではない
さっきも同じことがあったのだ
(これで二回目……ベステモーナさんはフェイト君がダメな人みたいに言うけど)
ホントは凄い人なのではないか………?
フェイトは得意げに笑った
それに合わせて、フェイトの一部だけ長く伸ばした色素の薄い髪がヒョコッと跳ねる
「俺の第六感をなめんなよ」
フェイトがドアの部を回すような仕草をすれば、歪んだ空間は消えて倉庫の扉が現れた
その倉庫の中にファンドラの奇草を乾燥させたビン詰めを見つけたのだった
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2つ目の薬草を見つけて3人が喜ぶ姿を廊下の向かいにある校舎の窓辺で眺める人影があった
その人影は頭の後ろで手を組んで、眠たげに欠伸をする
「ふぁ……なんだか、今年は面白いのが居るじゃないか………」
あの幻影魔法は特に強くかけられていたと思ったが……
にこりとその人物は笑ってその場を去った
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「ベスの好きな一番だな」
「……フェイト君、私を馬鹿にしていますね?貴方なんてもうフェイトと呼び捨てで十分です」
いつもはキリッとした顔を珍しく不機嫌にしてベステモーナは呟いた
対してフェイトはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている
そんな2人にどうする事も出来なくて、ジェイミーはおろおろと眺めていた


