「課題は……5つの薬草を探せ、だったよな?それがある場所のマークか」


フェイトが地図を覗き込みながら言うとベステモーナが呆れたように呟く


「マークがあるってことはここに行くまでが大変なのよ」

「こっ、この学園は魔法が色んな所にかけられてるから、多分見つけにくい場所にあると思うわ」


「それに加えて薬学科しか習ってない薬草の名前ばかりよ」



地図には至る所に印があるが、確かに簡単なものではないだろう


「とりあえず近い所から探そうぜ。やってみなくちゃ分からないだろ」


フェイトはニッとジェイミーに笑った


「俺探しものは得意なんだ、薬草の見分けは任したぜ?」

「あっ……はっ、はい!」


フェイトは親指をたてて頼もしく言った
一瞬キョトンとしたジェイミーだが、直ぐにうなずいた
しかし……


「捜索魔法も使えない貴方が見つけられるの?」


「ベス!お前一言多いぞ!」



********



ジェイミーは驚いていた


人見知りが激しくて、クラスや学科でもまだ話せる友達がいなかった
だから3人組を作れと言われて戸惑った


幸運にもある2人が声をかけてくれた
クラスでも噂になっている2人……1人は新入生代表で学年一位の成績を誇る純血のエルフ族のベステモーナ・アイスバーン


そしてもう一人


『人間』のフェイト・クロウリー……


(人間なんて初めてみたわ……)


ジェイミーは眼鏡越しにフェイトを見る
色素の薄い髪と目、まだ幼さを残した愛嬌のある顔立ち
ベステモーナとのやり取りが微笑ましかった


クラリス・アレイスター校長は別にして、同年代の人間なんて住む世界が違う
今まで人間を見ることはなかったが……フェイトは噂通り凄い人なのではないだろうか?
と、ジェイミーは思った


「ファンドラの奇草はこの辺りにあると思うのですけど……」


ベステモーナは初歩的な捜索魔法で薬草の生えている場所を探している
指に細い鎖で繋いだ菱形のクリスタルはファンドラの奇草はここだと差している


しかし、どこにもファンドラの奇草は生えていない