今年の入学式は上級生の間でも熱のこもった噂が飛びかっていた
「人間が入学するんだってよ!」
「うそ!?メディアに?」
「凄く強いって本当?」
噂でしかなかったが、ビーンもやはり期待していた
6年生は今年が最後の対抗戦になる
他の魔法学園と戦える貴重な体験に『人間』が加わってくれるならとても心強い
それ以外にも、ビーンは人間という種族そのものに興味があった
しかし
成績を均等に割って編成されたクラスを見て落胆した
人間、フェイト・クロウリーは学年最下位の成績でAクラスになったのだ
釣り合いを取るように学年1位のベステモーナ・アイスバーンが同じAクラス
ヒドイ皮肉に思えた
*****
観察を続けて約1ヶ月
「噂の人間君はどう?」
声をかけてきた友人に、そのままの体勢で返事をした
「今のところ普通だよ。サンドラはどう思う?」
赤茶の髪にそばかすの散った頬
サンドラ・クレイアはつまらなそうにビーンの差し出した遠視魔法のかけられた道具を受け取る
「みんなもう人間君に期待はしてないよ。魔法もここに来て初めて使ったって」
「うーん……確かに」
今は休み時間だ
フェイト・クロウリーはあのベステモーナ・アイスバーンと仲が良いらしい
ここ一ヵ月観察していてだいたい行動を共にしている
一緒にバンパイアの双子もいて、何やら魔法の練習をしていた
それを見てサンドラは肩を落とす
「あんな初級的な魔法に手間取ってる」
「でもなぁ、うーん……」
先日、第一回目のクラス対抗戦が行われAクラスは見事に勝利した
その時の事が気になるのだ


