「へぇ、ベスは純血なんだな」


「何の話です?」


感心したようにフェイトが呟いたら、ベステモーナは戻って来て席に座る


ディンがにこりと笑ってベステモーナを迎えた


「相変わらず見事な魔法陣だね」

「これくらい当然よ」


二週間で学んだ事、ベスは嫌味は言わない
彼女の中では出来ることが当たり前なのだ


ベスに嫌味や皮肉を言う気はまったくないのだが……やはり納得出来ない何かがある
しかし、フェイトには言い返せることはなにもない


「スゴいっすね」


フェイトは遠い目をして呟いた


と言うか、フェイトは自分の状況がいまいち納得出来ない
納得とはちょっと違う気もするが……


ベスはもちろん、フェイトの隣に座っている美少年ディン・サバティエがフェイトと一緒に行動していることだ


ベスはクラス対抗戦に勝つためだと言って、ほぼ自分の為に行動している
しかし、ディンはそんなことはないのに頻繁にフェイトと共に居る


『同じアパートのよしみじゃん』


と言っていた
それはいいのだ、それは……
けれどこの二週間、無数の視線がフェイトに突き刺さる


『あのベステモーナ・アイスバーンが人間の子といるぜ!』
『あのサバティエ兄弟ともよく一緒にいるのよ!』
『フェイト・クロウリーってきっと凄いんじゃないか!』



噂は確信のないオヒレがつきまくってる
『あの』が付くような実力者達が俺の側に居るせいだろう
正直、視線でハリネズミになりそうだ


ベスは学年一位であり、授業でも目立っているから注目されるのは当たり前


ディンとその兄、ブラッドはやはり黙っていても目立つ
2人が一緒にいると女子生徒がよく黄色い声を上げている


とにかく目立つ人物達に囲まれて、フェイトも一緒に注目されているのだ……



「何をしてるのフェイト君。貴方にボーッとしているヒマはないのよ」


「せめて基礎魔法ぐらいできないとね」



フェイトはため息を吐き出す
たった二週間なのにひどく長く感じた