その時、生徒達が配置された中継地点に伝令が走った
『魔方術式準備完了。各地点、魔術師は準備に入れ』
途端に各地に緊張が走る
慌てて配置についたメディアの生徒は神経を尖らせて集中した
数拍ののち、コウガを囲む魔方陣に一斉に魔力が流し込まれた
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背後にフェイト達の入った球体
水晶の立ち並ぶ部屋はハクロンとその一族の部屋であり、その場所はコウガの中心地だ
魔方式を織り込んだ水が宙に浮く
それを操るハクロンからは目で見えるほどに魔力が吹き出ていた
銀の燐光を放つハクロンは呪文を唱えて魔方式を発動させた
流し込む魔力の配分には細心の注意をはらう
メディアの生徒が混じった今回の魔法はとても不安定だ
結界を張り終えればハクロンはしばらく魔法が使えなくなる
それだけ魔力を消費してしまうのだ
その夜、月明かりに照らされたコウガに強大な結界が張り巡らされた
小さく燻っていた黒いソレも消滅した
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コウガの魔術師たちは、各地に配置されたメディアの生徒を回収するべく移動を開始した
水面に浮かぶ足場となる魔方陣には気絶した子供がいる
術式には関わらない、魔力を流すための媒体でしかないとはいえ強大な賢者の魔力を受けたのだ
幾人かはなんとか耐えて意識を保ってはいたが、やはりその殆どが意識を飛ばしていた
「……凄すぎだろ……魔力根こそぎ持ってかれた」
ため息と一緒に吐き出された言葉はその苦労を如実に物語っていた


